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書評

年金問題の正しい考え方 [著]盛山和夫

[掲載]2007年09月02日
[評者]小林良彰(慶應大学教授・政治学)

■制度への誤解、解き明かす

 著者によれば、日本の年金には、政治家の未納や社保庁の無駄遣い、納付記録消失より、もっと根本的な構造的問題があるという。

 その問題とは、年金の賦課方式でも少子高齢化でもなく、福祉元年と呼ばれた1973年の年金制度改正に起因する。大盤振る舞いで拠出と受給のバランスがとれなくなり、経済成長が続かなければ持続困難な仕組みになった、と指摘する。

 これに対し、2004年の改正では、経済成長に合わせて保険料収入の伸びを確保しつつ支給額の伸びを抑える調整方式を導入し、法改正しなくても支給水準を下げることが可能になった。著者は、この導入を評価しつつも、収支バランスを保つためには、より厳しい調整率が必要という。

 また、年金財源を消費税でまかなう方式は、消費税分を価格に転嫁できる企業にとっては負担が軽減される反面、給与所得者ら個人には保険料支払いを上回る消費税負担がのしかかることを明らかにする。

 年金問題をめぐる様々な誤った情報や誤解を一つひとつ解き明かし、客観的事実に基づきながら持続可能で公平な年金制度を構築するべきだという著者の主張は、傾聴に値する。

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