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書評

カブール・ビューティー・スクール [著]デボラ・ロドリゲス

[掲載]2007年09月02日
[評者]酒井啓子(東京外国語大学教授・中東現代政治)

■美容でアフガン女性を支援

 2001年の米軍による攻撃から半年、タリバン政権崩壊後の混乱にあったアフガニスタンに、ひとりの美容師(!)が降り立った。医療など緊急支援のためのNGOの一員として来たはずなのに、あれよあれよという間に美容院と美容師学校を開き、アフガニスタン人の夫とともに、現地社会にどっぷり浸(つ)かっていく。タフで元気印の、米女性の奮闘記だ。

 戦乱のなかで美容院? なんて能天気な、と思うでしょ? しかしこれこそがアフガン女性が置かれた生々しい苦悩と自立へのもがきの、日々戦いの場なのだ。そして、彼女たちのおしゃれ(伝統的な派手派手メークも欧米の先端的ファッションも)への、あくなき追求。全編に、現地の女性たちの喜怒哀楽すべての感情が、溢(あふ)れている。

 援助してあげました的な、ありがちな自己満足の記録とは、全く違う。出発点は、著者の米国でのDV体験だ。故国で傷ついた著者は、アフガニスタンの人々との交流によって癒やされていく。自分が癒やされた分、アフガン社会にお返ししたい、という思いが、彼女の行動の根底にある。

 上段からではない目線に、好感が持てる。

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