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書評

自衛隊裏物語 [著]後藤一信

[掲載]2007年09月09日
[評者]香山リカ(精神科医、帝塚山学院大学教授)

■24万人の実態、赤裸々に

 現在の憲法改正論議の核心は、自衛隊を「自衛軍」とするか否かに集約されると言える。しかし私たちはそもそも、24万人もの隊員を抱える自衛隊の実態をほとんど知らないのではないか。

 そういう人は、長年の“自衛隊マニア”とも言える著者が愛を込めつつも、ときには赤裸々にときにはユーモラスにその実態を記した本書を読んで、少なからず驚くであろう。何せ、ほとんどの自衛隊員の関心は国防にはなく、「一般隊員ではギャンブルと酒と女、幹部では自分の出世と老後の安泰」だと言うのだから。しかも、自由も逃げ場もない絶対階級社会の中で常にストレスにさらされ、心を病み、自殺や自傷行為に走る隊員もいる。

 「彼らは、自衛隊員である前に、私たちと同じ日本人だ」と主張する著者は、自衛隊も一般社会の縮図なのだから、こういった問題が発生するのもある意味で必然だとする。たしかにその通りであるし、訓練ばかりで実戦もなく「自分が何者かもわからない」状態に陥る職業というのは、ある意味で気の毒であることは確か。とはいえ、ただ笑ってすませるわけにもいかない。マジメな憲法論議の前に一読してみてはいかがだろう。

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