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書評

でも、これがアートなの?―芸術理論入門 [著]シンシア・フリーランド

[掲載]2007年09月09日
[評者]北田暁大(東京大学准教授・社会学)

■こう見ればわかるよ、と導く

 たまたま行くことになった美術館。何だかよく分からない物体が、だだっ広いスペースにポンと置いてあって、頭のなかは「?」なんだけど、周りの人たちが真顔で鑑賞しているので、とりあえずフンフンと頷(うなず)いてみる。しかし心の中では「うーん。でも、これがアートなの?」と思わず唸(うな)ってしまうような人(私だ!)、そんな人にお薦めの一冊である。

 著者は米の哲学者で、副題に芸術理論入門とあるが、ノリのいい軽妙な文体で、現代アートが芸術たることの意味、文化や市場と芸術との込み入った関係、芸術とジェンダーとの関係、情報技術と芸術の関係などが語られる。扱われる時期は古代からIT時代にまで及び、アートに詳しくない人でもストレスなく読むことができる。次々と提示される具体例の説明を楽しむうちに、芸術を理解可能なものにする芸術理論の意義と面白みが分かってくる。全体を通して「でも、これがアートなの?」という問いに対する丁寧な回答がなされているといえよう。

 訳者も指摘するように、マクルーハンやボードリヤールの扱いに多少物足りなさを感じなくもないが、魅力ある導入の書に仕上がっていると思う。

    ◇

 藤原えりみ訳

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