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書評

フラット革命 [著]佐々木俊尚

[掲載]2007年09月09日
[評者]音好宏(上智大教授)

■「社会の総意」、ネットが分断

 出会い系サイトに刹那(せつな)的に安らぎを求めていく女性や、ネット上の世論とリアルな政治との距離感を測りかねてしまった政治家など、インターネットが私たちの住む世界に何をもたらしつつあるのかを、具体例を挙げながら解き明かそうとしたのが本書である。筆者は、ネットが作りだすフラットな空間では、人間関係や政治的関係性など、あらゆるものが呑(の)み込まれつつあると説く。

 それはマスメディアも例外ではない。筆者は、新聞など既存のマスメディアが急速にパワーを失いつつあるとして、その理由を二つ挙げる。一つは、誰もが容易に発信できるというメディア特性により、既存のマスメディアをフラット化させるネット特有の言語空間が出現したこと。そして、もう一つは、「われわれ」の喪失だという。これまでマスメディアが代弁してきた「われわれ」=社会全体の意見そのものが、分断され、見えなくなってしまったのである。

 ネットの出現によって誰もが同じように意見表明できるフラット化した社会では、「公共性」は誰が担うのか。そして、ネットによる草の根型ジャーナリズムは成立しうるのか。筆者からの問いかけは深い。

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