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書評

ウナギ―地球環境を語る魚 [著]井田徹治

[掲載]2007年09月09日
[評者]四ノ原恒憲(編集委員)

■日本人の胃袋が荒らす資源

 何か怪しいとは感じていた。子供のころは、仰ぎ見るご馳走(ちそう)だったウナギが、数年前からか、スーパーでも山積みされている。ウナギの生態から、流通、資源としての現状までを詳細にリポートした本書を読めば、その謎は解ける。日本人の一人として、深くウナギに謝罪したくなった。

 何と、日本人は世界の7割ものウナギをその胃袋に収めているらしい。そのために、養殖用に川を遡上(そじょう)するウナギの稚魚、シラスが世界中から買い集められ、結果、世界のウナギが激減している。今年、ついに、ワシントン条約で、日本の食卓にも上るヨーロッパウナギの取引が規制された。

 では、卵から完全人工養殖すればいいのか。いやいや、太平洋や大西洋の深海で産卵するらしいウナギの生態は、謎に満ち、自然の産卵を見た人はいない。人工的に成熟させてウナギに産卵させ、育てる方法も成功してはいるが、企業化にはほど遠い。

 さらに、捕獲を逃れた天然ウナギが暮らす川や湖は汚れ、また遡上しようにも、水門や堰(せき)が邪魔をする。魚道を造るなどの対策も、日本では遅れている。

 食文化の中での、身近さゆえなのか。失礼が過ぎはしないか。事はグローバルな問題なのです。

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