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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]その他> 記事 書評 私と20世紀のクロニクル [著]ドナルド・キーン[掲載]2007年09月16日 ■日本への愛に満ちた回想記 いま85歳の筆者はいうまでもなく日本文学研究の第一人者である。日本文学の海外紹介の道を開拓し、万葉集から現代までの日本文学史を25年かけて完成。80歳直前に明治天皇の生涯を書き上げ、なお足利義政や渡辺崋山にとりくんだ。そんな知的バイタリティーの持ち主による、20世紀の世界的事件とからませての回想記だが、奥行きがある。 生涯の友となった永井道雄、嶋中鵬二をはじめ、源氏物語を英訳したアーサー・ウェイリー、川端康成、谷崎潤一郎、吉田健一、三島由紀夫、安部公房らとの交流はもちろん、伝説的な映画女優グレタ・ガルボなど、驚くような名前もでてくる。母親が逝った日に、日本から菊池寛賞受賞の知らせが届き、悲しみの淵(ふち)から救う。日本との不思議な偶然がたびたび起こる。 大学時代に学んだ一番肝心なことは、「作品を読み、それについて考え、なぜそれらの作品が古典とされているかを自分で発見すること」だったという。 「私は信じられないほど幸運だった」と述懐しているが、その幸運をみちびいたのは、学問のみならず、対人関係でも、この情熱を貫いたからではないか。優れた学究が人生の達人という稀有(けう)な例だと感じた。 ◇ 角地幸男訳
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