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書評

夏坂健セレクション3 痛ッ!ゴルフ虫に噛まれたゾ [著]夏坂健

[掲載]2007年09月16日
[評者]佐山一郎(作家)

■一編一編にゴルフの神髄が

 6頁(ページ)読み切りの洒脱(しゃだつ)なエッセーが51編収められている。90年代前半に寄稿していた「週刊ゴルフダイジェスト」の連載をまとめた「夏坂健セレクション」の既刊2冊同様、すべてゴルフにまつわる掌編群である。

 2000年1月、65歳で没した著者が称賛され続ける理由をやはり考えずにはいられない。「腕のほうはさっぱり」と韜晦(とうかい)しているが、長年月シングルを維持したトップアマとして知られた。通信社の特派員、雑誌編集長、翻訳家、作家と歩んで行く過程で養った筆力も図抜(ずぬ)けている。しかもそれは次々に披露される蘊蓄(うんちく)だけにとどまらない。その代表例が「自惚(うぬぼ)れは、スプーン1杯ほどに」と題した項。夏坂はそこで、謙虚なだけでは闘う心が挫(くじ)けてしまう。ひめやかな自惚れを持たないことには、ゴルフの辛(つら)さに押しつぶされてしまう恐れがある――と綴(つづ)り、心身の綾(あや)をも加味する。不治の病に侵された旧友とのラストゴルフを描く「喜びの日々、泡沫(うたかた)の夢」も忘れがたい。

 「行間からゴルフの神髄が滲(にじ)み出す」と再評価される夏坂ワールドだが、文章スタイルは意外性のある枕を振って綺麗(きれい)なオチをつける基本忠実型。

 読者を丁重にもてなす「真っ当」の復活が嬉(うれ)しい。

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