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書評

「愛されたい」を拒絶される子どもたち [著]椎名篤子

[掲載]2007年09月23日
[評者]多賀幹子(フリージャーナリスト)

■虐待された心を癒やす現場

 児童虐待防止活動に取り組む著者が、傷ついた子どもをケアする現場を追った。

 取材先は、虐待を受けた乳幼児を育て直す「ペンギンハウス」、児童精神科の入院病棟を持つ「あすなろ学園」などだ。

 6歳で“発見”された舞ちゃんはそれまで一歩も外に出されず、一日の食事は夕食だけだった。その後遺症には、戦慄(せんりつ)を覚える。

 たとえば自分の頭を拳で殴る。子どもにふさわしくない「ですます言葉」で話す。大人に従順すぎるほどの従順さを見せる。自分の心を変形させ理不尽な環境に適応、そのねじれが深い傷を作っていた。

 多くの専門家が献身的に回復を支援する。絵カードとひらがな五十音表との照らし合わせを続けた結果、舞ちゃんが文字と音を一致させた瞬間は感動を呼ぶ。ただ虐待した母親も彼女自身の家族に翻弄(ほんろう)された被害者とあり、問題の根深さを痛感する。

 全国の児童相談所の虐待対応件数は、06年度は約3万7000件。10年前の9倍と急増した。大人になった被虐待児は「自分を好きになれない」と生きにくさを表現するという。著者の主張する自立援助ホームの全国的設置が必要と痛感した。

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