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書評

「雲」の楽しみ方 [著]ギャヴィン・プレイター=ピニー

[掲載]2007年09月30日
[評者]渡辺政隆(サイエンスライター)

■蘊蓄も満載で、楽しい雲鑑賞

 暑かった夏もようやく終わり、空を見上げると、さすがに秋めいた雲が浮かんでいる。そういえば最近、呑気(のんき)に雲を眺めるなどという機会をとんともたなかったことに思いいたる。

 そんなストレスたっぷりの人生に一息入れたい人にお薦めなのがこの本。著者は、雲鑑賞好きが高じ、なんと「雲を愛(め)でる会」を結成してホームページまで立ち上げてしまったイギリス人。バードウオッチャーならぬ雲ウオッチャーにも市民権を、というわけだ。

 ただし本書は単なる雲賛歌ではない。雲の分類を紹介すると同時に、古今東西の神話や伝承からハリウッド映画「未知との遭遇」における雲の特殊撮影に至るまで、眼(め)から鱗(うろこ)の蘊蓄(うんちく)がこれでもかとばかりに満載されている。さらに話題は、雲をめぐる科学的な説明から地球温暖化にまで及ぶ。しかも、例の出し方や比喩(ひゆ)の用い方のあんばいが絶妙。

 誰にも、雲にまつわる思い出が一つくらいはある。遭遇した気象現象を勝手にロマンチックに解釈するのもいいが、科学的な説明を知るのも悪くない。それで思い出がもっと輝くかもしれないではないか。科学知識があれば人生はさらに楽しい。そんなことを実感させてくれる本だ。

    ◇

桃井緑美子訳

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