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書評

ザ・ニューリッチ アメリカ新富裕層の知られざる実態 [著]ロバート・フランク

[掲載]2007年09月30日
[評者]香山リカ(精神科医、帝塚山学院大学教授)

■若き金持ちたちの動向追う

 アメリカの資産100万ドル以上の世帯は、95年から03年までで倍増し、800万世帯を突破した。ただ金持ちなだけでなく、独自の価値観に従って生きる若き億万長者を、著者は金持ち国に住む「リッチスタン人」と呼ぶ。

 家庭で采配を振るうプロの「執事」を雇い、最高級ホテルも見劣りする邸宅に住む彼らの生活は庶民感覚とはかけ離れており、正直言ってどうでもいい。

 興味深いのは、彼らの政治的スタンスだ。資産1000万ドルまでのロウアー・リッチスタン人の多くは「自分たちの経済状態を良くしてくれそう」という理由で保守的だが、それ以上のクラスになると、もはや自分の財産を守る必要もないため環境、医療、教育など社会問題に関心が向き、リベラル派が増えるのだという。守銭奴であり続けるよりはマシだが、自分が十分にリッチにならないと弱い人たちに目が向かない、というのはなんとも皮肉な話。また、あまりの格差の広がりに、アメリカ国民全体の幸福感は低下しているという説もある。著者は彼らが「自分たちのお金は授かり物ではなく責任だと気づくはず」と言うが、日本のリッチスタン人たちを見ていても残念ながらとてもそうは思えない。

    ◇

飯岡美紀訳

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