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書評

つくもがみ貸します [著]畠中恵

[掲載]2007年10月14日
[評者]末國善己(文芸評論家)

■古道具の妖怪が事件解決

 愛らしい妖怪も魅力の「しゃばけ」シリーズで人気を集める畠中恵の最新作も、妖怪が大活躍している。

 生まれて100年たった器物は妖(あやかし)の付喪神(つくもがみ)になるという。義理の姉弟(きょうだい)お紅(こう)と清次が営む損料屋(レンタルショップ)は、付喪神になった名品を数多く抱えており、貸出先で付喪神が聞いた噂(うわさ)を手掛かりに奇妙な事件を解決していく。収録の5編は、付喪神が語る事件とは無関係に思える情報から、意外な真相を浮かび上がらせるものばかりなのでラストの衝撃も大きい。

 結婚は個人のものか、家と家との結び付きなのかを問う「利休鼠(りきゅうねずみ)」、法律では裁けない“悪意”の存在に迫る「裏葉柳」など、事件を通して現代人にも共感できるテーマを描いているので、考えさせられることも多い。

 物語は一話完結だが、お紅と失踪(しっそう)した商家の若旦那(わかだんな)との恋の行方が全体を貫く趣向になっている。張り巡らされていた伏線が一つにまとまる最終話「蘇芳(すおう)」では、お紅の恋も思わぬ展開になるので、恋愛小説としても、長編ミステリーとしても楽しめるはずだ。

 江戸に付喪神が多かったのは、誰もが物を大切にしていたから。ユーモラスな付喪神は、大量消費社会を見直すきっかけになるだろう。

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