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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]香山リカ> 記事 書評 内臓感覚 脳と腸の不思議な関係 [著]福土審[掲載]2007年10月21日 ■「たかが腸」と言うなかれ 毎朝、通勤電車に乗ろうとすると、おなかがゴロゴロしてきてトイレに行きたくなる。腹痛、冷や汗、動悸(どうき)が耐えがたく、次第に気持ちも滅入(めい)ってくる。消化器科で検査しても、「異常なし。気のせいですよ」で終わってしまう。 こんな過敏性腸症候群と呼ばれる疾患が増えている。背景にストレスがあることがわかってきているが、なぜここまで強烈な身体症状が出るのか。この疾患の第一人者である著者は、臨床データや実験から「脳と腸のあいだにある密接な交流」を明らかにしていく。医学用語も多いが、説明は分かりやすい。腸は自ら受けた刺激を「内臓感覚」として脳に伝え、脳は自律神経やホルモンを介して腸に影響を与える。私たちが意識していなくとも、このような身体からの情報が脳での情動形成にも深くかかわっている可能性もあるのだ。「たかが腸」などと言うなかれ。 過敏性腸症候群は、内臓と脳や心との関係を教えてくれる重要な疾患であるが、それだけに十分な時間をかけた専門的治療が必要になる。ところが、「時間的余裕も経済的裏づけも急速に悪化」しているいまの医療状況ではそれも困難、とする著者の嘆きにも耳を傾けたい。
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