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書評

大量破壊兵器 廃絶のための60の提言 [編]大量破壊兵器委員会

[掲載]2007年11月04日
[評者]吉田文彦(論説委員)

■核世界の矛盾に切り込む

 英、仏、スペイン、ロシア、アラビア、中国語に続いて、やっと日本語で出版された。大量破壊兵器(核、生物、化学兵器)の廃絶をめざして、世界の専門家たちがまとめた60の提言がわかりやすく解説されている。専門家委員会の代表は、イラクへの国連査察委員長をつとめたスウェーデンのハンス・ブリクス氏だ。日本からは西原正・前防衛大学校長が加わった。

 生物・化学兵器ではすでに禁止条約が発効している。そこで提言では、完全な履行と加盟国の拡大を進めることが重要との見方を示す。生物兵器に関しては、「生命科学を敵対的な目的で使おうといういかなる試み」も禁止条約違反であることを再認識すべきだと強調する。

 核兵器も、生物・化学兵器と同様に非合法化すべきであるとも強調する。一見非現実的に見えるが、今日の核世界の矛盾に鋭く切り込む、勇気に満ちた提言だ。核不拡散条約(NPT)は、(1)米英仏ロ中の5カ国に核保有を当面認めたうえで、それ以上の拡散を防ぐ(2)5カ国は核軍縮を誠実に交渉する、という枠組みだ。だが現状のままでは、そんな予定調和は幻に終わりかねない。紙背から専門家たちの危機意識がまっすぐ、突き刺さってくる。

    ◇

 西原正監修、川崎哲ほか訳

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