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書評

仮説の検証 科学ジャーナリストの仕事 [著]小出五郎

[掲載]2007年11月04日
[評者]音好宏(上智大学教授)

■どう科学と向き合うべきか

 メディアが、専門知識のない一般の人にも解(わか)るように「科学」を説明しようとするとき、より慎重な姿勢が要求される。安易な解釈や演出に逃げ込めば、メディアと科学の不幸な関係を招いてしまう。私がそのことを肌で感じたのは、この1月にデータ捏造(ねつぞう)が発覚した「発掘!あるある大事典2」問題の外部調査委員を引き受けた時である。

 著者も指摘するように、この事件は「科学番組」全体の信頼を揺るがせることとなった。「納豆がダイエットに役立つ」という仮説は成り立つだろうが、真面目(まじめ)に取材・検証すれば、誤りにすぐ気づくはずだ。ジャーナリストは科学とどう向き合うか。その作法を体験的に綴(つづ)ったのが本書である。

 特に著者が責任者として84年に放送した「核戦争後の地球」の制作過程と、その「反響」と向き合った様子を記録した本書の後半は圧巻である。放送後、こういう番組を作るためなら受信料を払うと書いた放送ジャーナリストがいる一方、一部のメディアや研究者からは、「欺瞞(ぎまん)」「偏向」の番組として、非難・圧力が加えられる。

 著者たちの攻防には、放送が何を伝え、何を守るべきなのかを改めて考えさせられる。

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