|
ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]赤澤史朗> 記事 書評 横浜の関東大震災 [著]今井清一[掲載]2007年11月11日 ■孤立無援の中の勇気と衝動 都会で激烈な地震被害にあうと、人はどんな行動に出るのか。人口比で見ると関東大震災による罹災(りさい)者の比率は、地震の揺れが大きかった横浜の方が東京よりひどかった。横浜では瞬時に多くの建物が倒壊し、同時に火災が発生し、倒壊を免れた市街地もその日のうちにほとんど焼き尽くされたのである。 東京から小規模の軍の救援隊が到着したのは、2日後の9月3日のことである。しかし軍隊や警察の関心は医療や食糧など被災者の生活援助より、専ら被災地の治安維持に向けられていた。そのため横浜の市民は地震の被害に直面しつつ、孤立無援の中で何日間も自力で生き抜かなければならなかったのである。そこでは見知らぬ人同士が、協力して救助に当たった事例も見られた。だが本書は、差し迫った食糧放出の要求が、やがて地元住民による野放図な略奪に変質していく過程も描いている。 朝鮮人が集団で襲撃してくるとの流言は、横浜で発生した。治安維持を重視していた警察はこのデマを広め、自警団による朝鮮人の大量虐殺を促すことになる。危機における民衆の勇気と非合理な衝動の二つを描いて、考えさせる本といえよう。 ここから広告です 広告終わり 書評 バックナンバー
|
ここから広告です 広告終わり 売れ筋ランキングコラム
|