ここから本文エリア

RSS

現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]その他> 記事

書評

日米同盟というリアリズム [著]信田智人

[掲載]2007年11月11日
[評者]奈良岡聰智(京都大学准教授)

■大きな構図で日米を捉え直す

 日米関係史には良書が多い。しかし、対象の巨大さ故に、その多くは共著か日米関係の一側面に焦点を当てたものであり、メッセージ性を持つ単著の通史は、意外にも少ない。これに対して本書は、国際政治理論の分析枠組みを一貫して用いながら、日米同盟を中心とする戦後の日米関係を通観している。

 筆者は、国家の安全保障を最重視するリアリズム、国際協調に有効性を見いだすリベラリズムの相克に注目する。冷戦下の日米関係については、吉田茂首相をはじめとして、日本が対内的にリベラリズム重視の姿勢を取りつつも、対外的にはリアリズムに基づく外交を行うことで、バランスが保たれていたと説く。

 冷戦後については、一時リベラリズム基調が強くなったものの、朝鮮半島危機や9・11事件以後はリアリズムに回帰し、日米同盟が再び重視されるようになったとする。その上で、依然不安定な東アジアに位置する日本にとって、日米同盟の強化は不可欠だと結論づけている。

 筆者も自覚する通り、やや図式的な整理ではあるが、本書の説明は大変明快で分かりやすい。日米同盟を大きな構図から捉(とら)え直すのに好適の書である。

ここから広告です

広告終わり

このページのトップに戻る