ここから本文エリア

RSS

現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]その他> 記事

書評

ジダン [著]バティスト・ブランシェ、チボー・フレ=ビュルネ

[掲載]2007年11月18日
[評者]佐山一郎(作家)

■慎み深く、故郷を愛する人

 サッカー・フランス代表、ジダン主将の頭突き事件で幕を閉じた感さえある06年ドイツ・ワールドカップ。イタリア代表DFマテラッティの挑発の言葉をめぐる大騒ぎが懐かしい。「髪形の乱れをからかった」説から「フーコーが死んで以来、フランス哲学はクズ同然と罵(ののし)った」説までもが当時ジョークとして飛び交ったものである。

 本書によると、ジダン最後のレッドカードはキャリア14枚目。「別々の大会の本戦で、二度退場処分を受けた二人目のサッカー選手」として歴史に名を残してしまう。

 類書が既に幾つかある中、この本に一日の長があるのは、ジダンの衝動性が情状酌量される理由を丹念に掬(すく)い上げて行くからだ。引っ込み思案と表裏一体の慎み深さや、愛郷心の強さを示す心温まる逸話が、ドーピング歴の疑いすら忘れさせる。ユベントス時代の試合後、リッピ監督がレストランから出てくると、深夜にもかかわらずジダンはアルジェリア人の友だちとボールを蹴(け)って遊んでいたという。

 原書の副題は「一人の人間でありたかった神」。フランスを代表するスポーツ紙「レキップ」で執筆する共著者による読みでがある評伝だ。

    ◇

 陣野俊史・相田淑子訳

ここから広告です

広告終わり

このページのトップに戻る