ここから本文エリア

RSS

現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]その他> 記事

書評

新薬、ください! ドラッグラグと命の狭間で [著]湯浅次郎

[掲載]2007年11月18日
[評者]多賀幹子(フリージャーナリスト)

■ここにも薬事行政の問題が

 ムコ多糖症とは、新生児5万人に1人が発症する進行性の難病。テレビの報道カメラマンである著者は、医師から「取り上げてもらえないか」と相談された。しかし国内の患者がほんの300人ほどと聞いて、当初は躊躇(ちゅうちょ)する。

 それが患者の家族などから話を聞くうち未承認薬問題の典型例と気づき、取材を決意した。04年当時、5歳の中井耀くんは、新薬のテストである治験に参加するため父親と渡米。著者は、テキサス子供病院まで足を運んだ。

 ムコ多糖症を主題にした番組は05年5月に放映され、翌年、治療薬「アウドラザイム」が承認された。アメリカの初承認から1269日の遅れだった。

 欧米の治療薬が日本で認可を得るまで、約4年もかかり、この時間差は「ドラッグラグ」と呼ばれる。硬直した厚労省のルールのせいで間に合わず、無念の最期をとげる患者も少なくない。

 日本の医薬品市場は世界第二位の規模を誇る。しかし「諸外国で普通に使われる薬が手に入らない薬貧国」と著者。薬害肝炎など、このところの薬事行政は特に目に余る。健康な人こそ抗議の声を上げるべきでは。

ここから広告です

広告終わり

このページのトップに戻る