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〈性〉と日本語―ことばがつくる女と男 [著]中村桃子

[掲載]2007年11月25日

  • [評者]香山リカ(精神科医、帝塚山学院大学教授)

■私らしく話す手がかりに

 日本語には、「わたしとボク」に代表される「女/男ことば」がある。この使い分けは自然なもの、と思っている人たちに著者は畳みかけるように問いかける。だとしたら「女の子なんだからもっとていねいな言葉づかいを」とは言われても、「男なんだからもっと乱暴に話しなさい」とは言われないのはなぜ? これって実は性による自然な使い分けなんかじゃなくて、“女らしい”言葉づかいを通して、女性たちを「男に愛されてナンボ」という異性愛市場に組み入れようとしてきたんじゃないの? だからそれに抵抗する少女たちは、自分のことを「ぼく・おれ・うち」などと呼ぶのだ。

 古典からマンガのセリフ、迷惑メールまでを材料に、言葉づかいに刻印された性の規範意識をテンポよく浮かび上がらせていく。そして、時代とともに規範が変われば言葉も変わるのは当然なのだから、そろそろ「最近の女性の言葉づかいの乱れ」を嘆くのはやめようよ、と呼びかける。自分らしさを表現するための言葉なのに、何かの押しつけの手段になるのはつまらない。堅苦しくなりがちなテーマだが、「私らしく話したい!」と元気がわいてくる楽しい一冊に仕上がっている。

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