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書評

若者を見殺しにする国―私を戦争に向かわせるものは何か [著]赤木智弘

[掲載]2007年12月09日
[評者]赤井敏夫(神戸学院大教授)

■現代をいさめる捨て身の戦略

 「論座」一月号で衝撃的な戦争待望論を掲げて登場した著者の単行本第一作。デビュー論への左翼各界からの論難に対する反論も収録しており、弱者救済を唱えるリベラルに著者が激しい非難を浴びせた理由がよく分かる。

 弱者保護にまつわる利権の保持に汲々(きゅうきゅう)とする左翼リベラルは、不況下で多数の若者が就業機会を喪失したがゆえに団塊世代の安定的雇用が維持されるという差別構造の存続に与(くみ)し、世代間格差が固定化するのを黙止してきた。救済の途を閉ざされた非正規雇用の若者は、もはや戦争が引き起こす混乱でこの差別構造が崩壊するのに希望を託すしかないというのが著者の主張の骨子だ。

 この論旨の妥当性についてはいずれ多方面から批判検討の対象になるだろう。むしろ注目したいのは、おのれの私生活を剥(む)き出しにするという捨て身の戦略が、ある意味で私小説的な手法にもとづく表現形態であることだ。強者への道徳の強制という極端な主張は、自らにひそむ業のありように自覚的であるからこそなされたものと見るべきだ。著者が今後とも現代社会に警鐘を鳴らしえるか、それは偏(ひとえ)にこの文体(スタイル)を維持・洗練できるかにかかっているに違いない。

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