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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]巽孝之> 記事 書評 ギリシアの神々とコピーライト [著]ソーントン不破直子[掲載]2007年12月09日 ■歴史の中でたどる「作者とは」 19世紀後半、ニーチェは「神の死」を提唱し、20世紀後半、フーコーは「人間の死」を、バルトは「作者の死」を宣告した。彼らの批判的思考の道筋は、西欧文明がいかに長いこと、「神」の権威をモデルに「人間」の権利や「作者」の著作権を保証してきたかを認識させてやまない。 本書がユニークなのは、あらためて「作者という神話」を批判せずとも、古くはギリシャ古典や旧約・新約聖書の時代より、作家とはあくまで神の代理にすぎず、作家が「霊感」を受けたと主張すればするほど、それは個人の独創性ならぬ詩神の権威のほうを裏書きしたのだ、という前提から始めていることである。ルネサンスの人間主義や近代以降のロマン主義を経てようやく、作家の作品を人間の側の私有財産、作家を神に成り代わるべき存在と見直す視点が生まれたのだという。 だが20世紀のモダニズム以後、そのように強大化した作者を警戒する意識が生まれ、21世紀の今日ではデジタル共産主義の台頭により、著作権は再びゆらいでいる。かつての霊媒は、いまや亡霊と化した。2500年にわたる文学史の根幹を問い直す本書は、現代批評理論の入門書としても、広くお薦めできる。
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