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書評

アメリカにいる、きみ [著]C・N・アディーチェ

[掲載]2007年12月09日
[評者]望月旬(文芸評論家)

■「少数者の矜持」が胸を打つ

 ナイジェリア出身の作家といえば、「アフリカ文学の父」とされるアチェベやノーベル文学賞を受賞したショインカが有名だが、その次代をになう代名詞的な存在として、今後ますますの健筆ぶりが期待できる、チママンダ(=「私の神は倒れない」)というファーストネームを持つ彼女。

 1977年生まれの著者は、19歳のときに奨学金を得て渡米し、現在イエール大学に籍をおく才媛(さいえん)だが、あくまでもビアフラ戦争に負けたイボ人の末裔(まつえい)としての目から“現代”を描く。

 切実な思いが結晶した、これぞ珠玉の短編集だ。

 表題作をはじめ全10編はみな、深い悲しみを湛(たた)えている。異文化にとまどい、心ない人々の言動に傷つく主人公たち。その〈静かに泣いている〉姿が、じつに、胸を打つ。なぜなら、少数者の矜持(きょうじ)というか、差別と闘う決意をした者の、凜(りん)とした心意気が感じられるから。

 スタバやゲームボーイ、コーチのハンドバッグに、プジョーの車……資本主義社会の「商標」が作品中にさらりと登場したり、大学の教授と女生徒の同性愛が示唆されたりもする作品の同時代性に驚くなかれ!過去と未来を行き来する、肌理(きめ)こまやかで伸びやかな語り口にこそ瞠目(どうもく)すべし。

    ◇

 くぼたのぞみ訳

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