|
ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]その他> 記事 書評 移りゆく「教養」 [著]苅部直[掲載]2007年12月16日 ■社会全体を支える知恵として 「あの人は教養があるから」という言葉には、微妙なニュアンスがある。単に知識をひけらかす人、または頭の知識だけで実務には疎い、などというマイナスの意味合いが潜む場合が往々にしてあるからだ。 「教養」という言葉がどこか持つエリート臭、説教臭に敏感な著者は、それが発生してくる歴史を丹念に追う。その上で、「教養」と「政治的判断力」とを重ねて考えるところに、独自性がある。 「政治的」といっても、いわゆる「政治」の話ではない。他者とのかかわりを通じて、伝えあい、更新してゆくことが、ひいては社会秩序の全体を支えることになる知恵のようなもの、と規定する。 そう考えると、気は楽になるのだが、難問もある。そんな「政治的」な教養を巡る考察も、西欧では積み重ねがあり、理想像の一つは、結局、古代ギリシャの市民などに行き着く。これを、そんな文化伝統とは無縁のこの国に移植しても意味があるのか。そこで、日本の伝統の中にその可能性を探った和辻哲郎、丸山真男らの試みも取り上げる。 現代に必要な教養とは何か。それを、「教養臭さ」に至らない道筋で考えるヒントにあふれている。 ここから広告です 広告終わり 書評 バックナンバー
|
ここから広告です 広告終わり 売れ筋ランキングコラム
|