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書評

香山リカ 書評委員お薦め「2007年の3点」

[掲載]2007年12月23日
[評者]香山リカ(精神科医、帝塚山学院大学教授)

 (1)生きさせろ!(雨宮処凛著、太田出版・1365円)

写真香山リカさんのこの1年 病院での診療、大学での授業、ちょっぴりの執筆と、いつもと変わらぬ1年。スピリチュアルブーム批判本を出したが、とくに災禍もないようだ……。

 (2)ヒバクシャの心の傷を追って(中澤正夫著、岩波書店・2100円)

 (3)幼年期の終わり(アーサー・C・クラーク著、池田真紀子訳、光文社古典新訳文庫・780円)

    ◇

 ニートになるのは自己責任、と言われがちだが、実はその裏に構造改革による雇用の流動化と、それに基づく「労働者使い捨て」の過酷な実態があることを(1)は丹念な取材を通して浮き彫りにした。著者はこれで新境地を開き、その後の活躍も目覚ましい。(2)は、これまであまり顧みられなかった原爆被害者の「心の傷」の問題の深刻さと、他の心的外傷後ストレス障害(PTSD)と異なる特殊性について、精神科医である著者が長年の研究の末、まとめた力作だ。(3)はあまりに名高いSFの古典だが、冷戦終結を受けて書き直された新章が加えられて再登場。巽孝之氏による解説も読み応えがある。(1)、(2)、(3)ともいろいろな意味で「強者に支配される弱者」の側に寄り添い、その姿を描こうとしている作品と言える。来年は、弱き当事者たちが声を上げられる年になることを祈りたい。

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