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重松清 書評委員お薦め「2007年の3点」

[掲載]2007年12月23日

  • [評者]重松清(作家)

写真重松清さんのこの1年 『小学五年生』『カシオペアの丘で』『青い鳥』など14冊を刊行。RPGゲーム「ロストオデッセイ」のサブシナリオ、NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞も。

 (1)神の棄(す)てた裸体(石井光太著、新潮社・1575円)

 (2)蟻(あり)の兵隊(池谷薫著、新潮社・1470円)

 (3)滝山コミューン一九七四(原武史著、講談社・1785円)

    ◇

 宗教、国家、そして学校……「全体」と呼べばいいか、僕の好む言い方をするなら「みんな」と対峙(たいじ)する「個」の姿を描いたノンフィクションを3点。

 (1)は厳しい戒律を持つイスラム世界の性についてのルポルタージュ。(2)は、太平洋戦争終結後も中国・山西省に取り残されて戦闘をつづけた日本兵がなぜ逃亡兵の汚名を着せられたかを探る。「個」=「孤」の闘いからたくましさやしたたかさを受け止める(1)、悲痛な叫びを聞き取る(2)、ともに書き手自身の「個」の誠実さにも胸を打たれた。

 一方、学校の「みんな」の圧力は宗教や国家に比するといかにも弱そうに見える。しかし、ほんとうに「個」を追い詰めるのは、笑顔を伴うやわらかい圧力ではないか、と(3)から教えられた。舞台は1974年の小学校だが、いまの子どもたちの世界にもきっと通じるものはあるはずだ。

表紙画像

滝山コミューン一九七四

著者:原 武史

出版社:講談社   価格:¥ 1,785

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