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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]巽孝之> 記事 書評 巽孝之 書評委員お薦め「2007年の3点」[掲載]2007年12月23日 (1)大失敗(スタニスワフ・レム著、久山宏一訳、国書刊行会・2940円)
(2)Euphoric 陶酔(野波浩著、エディシオン・トレヴィル・3465円) (3)ギターを抱いた渡り鳥―チカーノ詩礼賛(越川芳明著、思潮社・2625円) ◇ (1)は昨年急逝したポーランド作家レム後期の傑作。代表作『ソラリス』などで未知の知性体との遭遇の可能性と不可能性を探り続けた彼は、1987年刊行の本作でも英米SFへの批判精神を失わず、より深く、より批判的で、よりしたたかな思索宇宙を紡ぎ出す。 (2)はピエール・モリニエから天野可淡まで超現実的かつ耽美(たんび)的な前衛芸術家たちを紹介してきた版元が贈る、華麗で官能的な銀塩写真集。これらのゴージャスな構図がデジタル技術なしで達成されたとは、到底信じられない。 (3)はアメリカ・ポストモダン文学研究から出発した著者が、16世紀初頭以来のメキシコ系アメリカ人(チカーノ)の文化に、ユダヤ人にも似た民族離散の運命を見いだし、周縁の視座から南北アメリカ研究にもつながる壮大な越境の戦略を構築する、圧倒的フィールドワークの成果。
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