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橋爪紳也 書評委員お薦め「2007年の3点」

[掲載]2007年12月23日

  • [評者]橋爪紳也(建築史家)

写真橋爪紳也さんのこの1年 著作『ゆく都市 くる都市』などを刊行。監修者として念願の『近代建築画譜〈近畿編〉』『都市美』『建築の東京』(不二出版)の復刻出版を果たせたのは収穫。

 (1)新聞記者 疋田桂一郎とその仕事(柴田鉄治・外岡秀俊編、朝日選書・1260円)

 (2)たまたま、この世界に生まれて(鶴見俊輔著、編集グループ〈SURE〉・2415円、直接販売。電話075・761・2391)

 (3)創造の狂気 ウォルト・ディズニー(N・ゲイブラー著、中谷和男訳、ダイヤモンド社・1995円)

    ◇

 (1)は、権力に抗(あらが)う姿勢を崩さなかった、戦後日本を代表する名記者の文章からの選集。内外の現場を踏んだルポルタージュ、新聞やジャーナリズムの役割への鋭い提言を収める。名文とはかくあるべき、と学んだ。

 (2)は、自叙伝は書かないと断言する85歳の哲学者が、みずからの思索の跡を説く講義録。最初の本である『アメリカ哲学』(1950年)で示したプラグマティズムを、今日の視点から語り直す。暮らしのなかで育まれた知恵に意義を見いだす論法は、半世紀を超えてなお鋭く、さらにのびやかだ。

 (3)は、「世界で最も著名な米国人」の苦悩を描く優れた伝記。保守主義と自由主義、創造力と企業経営、尖端(せんたん)技術と芸術表現など、相反する価値の調和をとることに常に意を尽くしたウォルトを「秩序の長」だとみる結論は見事。

表紙画像

創造の狂気 ウォルト・ディズニー

著者:ニール・ガブラー

出版社:ダイヤモンド社   価格:¥ 1,995

表紙画像

アメリカ哲学

著者:鶴見 俊輔

出版社:講談社   価格:¥ 1,103

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