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書評

久田恵 書評委員お薦め「2007年の3点」

[掲載]2007年12月23日
[評者]久田恵(ノンフィクション作家)

 (1)あの戦争から遠く離れて(城戸久枝著、情報センター出版局・1680円)

写真久田恵さんのこの1年 執筆仕事の傍ら主宰する音楽人形劇の出前ボランティア公演を5カ所で実現し、子どもたちの熱狂に感動。目下、ファンタジー作家への転身を図って修業中。

 (2)道元禅師(立松和平著、東京書籍・上2205円、下2310円)

 (3)たんば色の覚書(辺見庸著、毎日新聞社・1260円)

    ◇

 書き手へ敬意を覚えずにいられなかった3冊を選んだ。

 (1)は、1970年に帰国を果たした「中国残留孤児」の娘である著者が「父の運命の物語」を渾身(こんしん)の力で書き下ろしたノンフィクション。父の人生は、そのまま自分につながる物語であるとの思いに突き動かされ、長きにわたって取材を深めていく若い著者の真摯(しんし)さがまっすぐに伝わってくる。

 (2)は、日本仏教の革命者と言われる道元の評伝。9年かけた大著だが、流麗な文章に引き込まれて、一気に読了できる。難解な道元の思想がその求道的な生涯の中で描かれていて、読了後、静謐(せいひつ)な思いにひたされる。

 (3)は、厳しい著作である。他者の痛みへの想像力を失った私たちへの警鐘。「日常とは痛みの掩蔽(えんぺい)の上に流れる滑らかな時間のことである」と、言い切る著者の言葉に叱咤(しった)される。

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