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書評

サーブ&ボレーはなぜ消えたのか [著]武田薫

[掲載]2008年01月06日
[評者]佐山一郎(作家)

■一大変化の発見から謎解きへ

 「サーブ&ボレー」とはテニスプレーヤーがサーブを打った後、ネットに飛び出して行く攻撃的戦術。そこには「ローン(芝)テニス時代の肉体の無理を感じさせない自然な流れがある」と該博な知識で鳴らすスポーツライターが懐旧する。

 著者はその代表的プレーヤーとしてマッケンロー、エドバーグ、神和住純、鈴木貴男、また女子ではナブラチロワ、井上悦子、ノボトナらの名を挙げる。

 だが今、時流に乗っているのは、ダブルハンドによるベースラインからの激しい打ち合いだ。ボルグ、アガシに象徴的だったこのパワーテニスはどこか退屈と著者は本音を明かす。

 結果、本家ウィンブルドンの芝の踏み跡は、ベースラインの周りだけ地肌が露出することに。その一大変化の発見と謎解きが本書の読ませどころなのだが、著者が“パワーの時代”を嘆かずに済んでいるのは、現役ナンバーワンのロジャー・フェデラー(26)に融合型テニスの究極を見いだすから。“現人神(あらひとがみ)”の出現がもしなかったら、と読了後、逆に心配になってきた。

 テニスの発展プロセスは、女性を巻き込みつつ逸早(いちはや)くプロ世界を形成した先進性の歴史――という解釈にも目から鱗(うろこ)が落ちる。

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