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書評

戦前の少年犯罪 [著]管賀江留郎

[掲載]2008年01月06日
[評者]香山リカ(精神科医、帝塚山学院大学教授)

■犯罪記事、徹底的に洗い出す

 「最近、少年の凶悪事件が増加している」と聞かない日はないが、本当なのか。戦前の新聞を丹念に読み込んだ著者は、そこから「同級生殺し」「親殺し」「幼女殺人」といった少年や若者による犯罪の記事を徹底的に洗い出す。そして、戦前は数的にも質的にも今よりはるかにひどい少年犯罪があふれていたこと、さらに「いじめ」「ニート」といったいかにも現代ならではと言われる現象も、実はその時代から存在していたことを浮き彫りにする。

 なるほど、ここに並べられた目をおおいたくなる事件を眺めていると、“昔の子どもはよかった”“現代の子どもはモンスター”的な言い方には何の根拠もないことがよくわかる。しかし、「ジャーナリストも学者も官僚なども物事を調べるという基本的能力が欠けていて、妄想を垂れ流し続けています」という著者の憤りはよくわかるのだが、戦前の子どもは「簡単に人を殺し」、現代の子どもは「ほんとにおとなしくなった」とまで言うのもやや断定的すぎるのではないか。データは少年犯罪の増加を示していないのに人々の不安は高まる一方、というところにこそ子どもをめぐる最近の問題の本質があるのでは、とこの労作の著者に尋ねてみたい。

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