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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]その他> 記事 書評 中原の虹 [著]浅田次郎[掲載]2008年01月06日 ■複雑怪奇な中国近代史を活写 『蒼穹(そうきゅう)の昴』から約10年、続編となる『中原の虹』が完結した。張作霖が一大軍閥を築くまでを派手な活劇を交えて描く冒険小説、張作霖の下で戦う春雷(チュンレイ)、西太后腹心の宦官(かんがん)となった春児(チュンル)――敵味方にわかれた李兄弟をめぐる人間ドラマ、清朝滅亡後の謀略に満ちた覇権争いを追った政治スリラーと、息をもつかせぬ展開が連続するので、全四巻ながら長さを感じさせない。 天命の象徴とされる「龍玉」の争奪戦というファンタジックな設定を導入することで、複雑怪奇な中国の近代史を分かりやすく活写した手腕は脱帽もの。悪役とされてきた張作霖を民衆の支持を集める馬賊の頭目とする一方、辛亥革命を成功させた孫文を凡庸と評するなど、今までにない独自の歴史解釈が随所に見られるので、目から鱗(うろこ)の発見も多い。 日中関係は先の大戦の影響もあって、負の側面ばかりが強調されている。だが著者は、日本は古くから文化先進国の中国を尊敬し、中国も植民地化されることなく近代国家になった日本を見習うべく多くの留学生を送ったことを指摘する。埋もれてしまった日中の輝かしい交流史を発掘していく本書を読むと、現代と未来のために歴史を学ぶことの重要性が実感できる。
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