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書評

わたしのリハビリ闘争 最弱者の生存権は守られたか [著]多田富雄

[掲載]2008年01月20日
[評者]香山リカ(精神科医、帝塚山学院大学教授)

■弱者のために振り絞った声

 『免疫の意味論』などの著作でも知られる著者が脳梗塞(こうそく)に見舞われ、懸命のリハビリで後遺症と闘う姿は、これまでもしばしば伝えられてきた。ところが厚労省は06年4月、リハビリ医療に上限日数を設定、著者にも打ち切りが通達された。いわゆる小泉改革の一環として医療制度にもメスが入れられ、弱者切り捨てが行われたのだ。

 著者はすぐさま朝日新聞の「私の視点」欄に「診療報酬改定 リハビリ中止は死の宣告」を投書し、「一番弱い障害者に『死ね』といわんばかりの制度をつくる国が、どうして『福祉国家』と言えるのであろうか」と強い口調で訴えた。本書は、その投書がきっかけで始まった「リハビリ打ち切り反対闘争」の記録だ。

 署名が48万も集まった。厚労省に提出した。しかし梨のつぶてで、医学会も黙認。鶴見和子さんら同志も世を去る。中医協会長が見直しを命じるが、再改定案はとても利用者の期待に沿うものではなかった……。

 怒り、希望を抱き、失望して落胆してもまた闘おうとする著者に、「改善の見込みはない」などといったい誰が言えるのだろう。知の世界の巨人である著者が弱者のために振り絞った声に、耳を傾けたい。

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