|
ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]その他> 記事 書評 月芝居 [著]北重人[掲載]2008年01月27日 ■江戸留守居役が迫る天保の闇 昨年『蒼火(あおび)』で大藪春彦賞を受賞した著者の受賞後第一作は、巨大利権に群がり甘い汁を吸う魑魅(ちみ)魍魎(もうりょう)の存在を浮かび上がらせる時代ミステリーである。 天保の改革で江戸屋敷を失った左羽(さばね)家。江戸留守居役の小日向弥十郎は、転居先探しを依頼した尽左衛門から、弟子の鍬蔵(くわぞう)が殺されたことを知らされる。やがて弥十郎は、鍬蔵が水野忠邦や鳥井耀蔵がからむ土地売買の闇を知ったため、消された事実を突き止める。 建築と都市開発が専門の著者らしく、水野忠邦の土地政策という今までにない角度から天保の改革をとらえた点をまず評価したい。 そのため前半は江戸にある武家屋敷の実態、当時の土地取引の方法など膨大な情報が詰め込まれ、消化するのにやや時間がかかるほどである。だが中盤に事件の黒幕が判明してからの展開はスピーディー。探偵役の弥十郎は、忙しい仕事の合間をぬって事件を捜査する等身大の人物なので、宮仕えの悲哀に我が身を重ねる人も多いのではないだろうか。 政策が変更されると庶民の生活は激変するが、業界と結び付いた為政者は損をしない。どこかで見た構図が江戸時代から変わっていないことが分かるので、現代社会の問題点も実感できる。 ここから広告です 広告終わり 書評 バックナンバー
|
ここから広告です 広告終わり 売れ筋ランキングコラム
|