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日本の人形劇 1867―2007 [著]加藤暁子

[掲載]2008年2月3日

  • [評者]橋爪紳也(建築史家)

■民族・時代を超えて伝わる物語

 ひょっこりひょうたん島、サンダーバード、新八犬伝……。人形が演じる物語に夢中になった少年の日々を思い出した。

 長年、上演現場に携わった著者が、幕末から現在に至る人形劇の変遷をまとめた。当事者が語ることが少なかった大政翼賛体制下の状況にも触れ、140年におよぶ通史としている。

 幕末に渡欧し、紙製の蝶(ちょう)を巧みに飛翔(ひしょう)させて喝采をあびた曲芸団・廣八一座から説き起こし、明治27年に来日した英国の糸操り人形芝居のダアク座、第1次世界大戦後に国内の独軍捕虜が演じた人形劇など異国から渡来した芸にも触れる。

 わが国における人形劇の近現代を扱う本書の枠組みが、おのずと国境を超えた文化交流の物語となることに納得した。文楽は各国の芸能や芸術に影響を及ぼした。逆に、わが国の劇は東欧などの刺激を受け、テーマパークでは米国生まれの機械仕掛けの人形が人気を集める。

 確かに人形を操った表現行為は、民族や時代を超えた普遍的な物語伝達の手段なのだろう。人形遣いを「無生命のものにいのちの痕跡を見つけ、それを蘇生させ、その生をともに語る人」と定義し、人形劇に「現代のアニミズム」を見いだす視点が面白い。

表紙画像

日本の人形劇―1867-2007

著者:加藤 暁子

出版社:法政大学出版局   価格:¥ 2,940

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