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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]山下範久> 記事 書評 ロスチャイルド家と最高のワイン [著]ヨアヒム・クルツ[掲載]2008年02月10日 ■名門一族の歴史とビジネス シャトー・ラフィット・ロートシルトとシャトー・ムートン・ロートシルトといえば、ボルドーワインのファンにとっては、ともに垂涎(すいぜん)の的である。ぼつぼつリリースされる05年ものは近年最高の作柄と折からのユーロ高で、日本での実売価格はいずれも1本10万円を超えそうな見通しだ。 二つの名前の中にあるロートシルトは、英語で読めば、ロスチャイルド。そう。両シャトーはともに、19世紀に欧州金融界の頂点を極めたあのロスチャイルド一族内の二家の所有になるものである。ワイン愛好家にとってはよく知られた話だが、本書のユニークさは、このふたつのシャトーの歴史をドイツの経済ノンフィクション作家が、欧州金融史のなかのロスチャイルド家の歴史全体に接続して語りなおしていることである。19世紀以来、段階的にグローバル化してきた世界経済とそのなかでのワインビジネスの変容を俯瞰(ふかん)するうえで、ロスチャイルド家は、絶好の観測定点なのである。 相手が相手だけに、やや取材に甘さも感じられるが、良くも悪くも神話化されすぎたこの一族の歴史を、普通の経営者評伝の水準でケレン味なく書きとおした読みやすい本である。 ◇ 瀬野文教訳
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