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書評

外交―多文明時代の対話と交渉 [著]細谷雄一

[掲載]2008年02月10日
[評者]奈良岡聰智(京都大学准教授)

■「誠実さと忍耐」の地道な営み

 外交とは何か。この大きな問いに真正面から取り組んだ意欲作である。

 筆者は、「主権国家間で行われる交渉や政策」としての外交が、19世紀欧州で確立するに至った軌跡を、カリエール、サトウ、ニコルソンなど欧米の外交理論家の分析を下敷きに追う。

 外交には、とかく「優雅」「社交」といったイメージがつきまとうが、実際は「知性と機転」「誠実さと忍耐」を必要とする地道な営みなのがよく分かる。

 20世紀に入ると、第1次大戦後の民主化やナショナリズムの高まりによって「新外交」が登場し、第2次大戦後には、冷戦や国際組織の発達に対応した「現代外交」が展開した。この百年で外交のあり方がいかに大きく変容したかに改めて驚かされる。しかも、その変化は止まることを知らない。著者は、文化や広報を通じて外国に働きかけるパブリック・ディプロマシーや対テロ戦争への取り組みなど、21世紀の外交で何が求められるかも論じている。

 国連安保理常任理事国入りの見送り、外交官試験の廃止など、近年わが国の外交をめぐる状況は激変している。このような時だからこそ、立ち止まって、外交の本質について再考したいものである。

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