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書評

テレビニュースの世界像 [編著]萩原滋

[掲載]2008年02月17日
[評者]酒井啓子(東京外国語大学教授・中東現代政治)

■外国像を固定化していないか

 テレビの怖さは、映像と音と文字を駆使して全身に訴えかける点にある。圧倒的すぎて、受信者の方向性を固定し、異なる受容の仕方を認めないのではないか、との危惧(きぐ)を抱く。

 本書は、テレビの外国報道のあり方を丹念に分析した好著だ。イラク情勢やテロ、北朝鮮拉致事件など、視聴者はテレビの報じ方によって一体感を持ったり、他人事視したりする。

 新聞ではアメリカ関連の報道が多いのに、テレビは日本が関(かか)わったニュースが多い、という指摘は、興味深い。日本人のお茶の間の関心が、日本から外国に広がる、という構造。

 だがわかりやすさが必要な分、提示される外国像は、常にステレオタイプ化される。しばしばその国の後進性や貧しさ、凶暴性を強調されて、事件があっても仕方ないと受け止められる。中国製ギョーザや中東の紛争でも、そうした先入観がないだろうか。

 テレビを作る側が、外国イメージの固定化に与える影響にさほど自覚的でないことを考えれば、こうした研究はもっと進められるべきだ。ただ、研究自体がテレビの提示する枠組みから完全に自由であることも、至極困難なことなのだが。

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