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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]酒井啓子> 記事 書評 イスタンブールの群狼 [著]ジェイソン・グッドウィン[掲載]2008年03月16日 ■魅惑の国際都市を生き生きと 中東を舞台としたミステリーといえば、大英帝国時代の香り漂うクリスティや国際スパイ合戦を扱うル・カレなど、危険と陰謀が満載だ。主人公は大抵西洋人で、中東人は悪役か、その手先として登場する。 本書は、オスマン帝国を舞台にトルコ人宦官(かんがん)が大活躍するという、歴史物。19世紀の国際都市イスタンブールの繁栄、下町の猥雑(わいざつ)な世界を舞台に、猟奇的連続殺人事件の謎を追う。 オスマン帝国といえばトルコ、というイメージだが、フランス出身の妃(きさき)やアフリカ出身の官吏の登場は国際帝国だった証し。東欧やロシアとの関係、イェニチェリ軍団の解体と帝国の近代化など、当時の国際政治情勢が反映されている。 訳もよい。中東歴史物は、ついつい千夜一夜物語的な文体になりがちだが、職人気質の親爺(おやじ)、はすっぱな女たちなどの下町ならではの会話が、生き生きしている。 食べ物の記述が多いのも、魅力。世界3大宮廷料理のひとつに数えられるトルコ料理だが、主人公も食への造詣(ぞうけい)が深い。西洋の小説のなかでテロリストとしてしか登場しにくい中東キャラが、モテ系イケ面グルメというのは、なかなかありません。 ◇ 和爾桃子訳
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