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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]橋爪紳也> 記事 書評 中国 都市への変貌―悠久の歴史から読み解く持続可能な未来 [著]ジョン・フリードマン[掲載]2008年03月16日 ■急激な都市化のなか、進むべき道は 各国の地域計画にも影響を及ぼす都市論の大家が、中国の政治的変化と経済成長を「都市化」という現象から分析した新著である。 開放政策と近年の経済成長は、農村から都市へと大量の労働者の流入を促した。中国では総人口の3分の1以上が都市に暮らし、なおその比率は年々上昇している。今後、30年以内には、3分の2が都市に住まいを構えることになるようだ。それ以上に現在の4億6000万人から9億人に都市居住者が増加するという実数の予測に驚かされる。人類が経験したことのない、変貌(へんぼう)をとげつつあるわけだ。 都市化の波は、農村の工業化をも推し進めた。基盤整備を進める地方政府の力量を超え、実務者が策定する都市の将来構想よりも速く、広大な国土にひろがった。いっぽうで社会の都市化は、これまでにはなかった「個人の自律性にかかわる空間の拡大」をもたらした。人々は消費の楽しみを知り、自由な時間の過ごし方を自分で考えるようになった。都市化とは、重層的に捉(とら)えるべき現象である。 なによりも私たちが本書から学ぶべき点は、このアーバニズムへの移行が、西側社会に「追いつく」ことを目的としたものではないという指摘だ。確かに香港や台湾、外地の華僑、日本や韓国などの資本を受け入れてきた経緯を考えると、この変化はグローバル経済の所産のようにも見える。しかし実際は、伝統を踏まえた内発的な力によって推し進められたと、著者は繰り返し強調する。 著者は持続可能な経済・環境・社会を実現する上でも、「世界の大文明」の一つである中国が果たす役割に期待を寄せる。環境破壊や所得格差の拡大などによる最悪の事態を回避するには、無秩序な成長でもなく停滞でもない「中道」を歩むことが望まれる。 そもそもかつての中国の人々は極端に走るのではなく、然(しか)るべき均衡を見いだすことに長じていた。現世代も、その良き伝統を継承する意志をもつべきだと主張する。碩学(せきがく)のこの信頼に、中国がいかに応えるのか。隣国の私たちにとっても切実な問題だ。 ◇ 谷村光浩訳/John Friedmann カリフォルニア大学ロサンゼルス校名誉教授。
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