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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]小林良彰> 記事 書評 変容する参加型開発―「専制」を超えて [著]S・ヒッキィ、G・モハン[掲載]2008年03月16日 ■自発的改革をもたらす援助のために 開発援助と民主化の関係は先進国の人たちが思っているほど一筋縄ではいかない。かつては開発途上国に援助をして経済発展を促せば、自然と民主化されて市民が幸福になるという単純な近代化の図式が描かれていた。しかし、その後、途上国の政府を通じて経済援助をするだけでは、かえってその国で独裁的に権力をもつ者に資源を与え、民主化を遅らせることになるという「開発独裁」が指摘された。 このため、開発プログラムを途上国政府の主導に委ねるのではなく、地域の草の根レベルでの住民参加を軸とする開発を進めるべきであるという「参加型開発」論の主張が一世を風靡(ふうび)するようになった。しかし、この議論に対しても、90年代後半から、現実には地域の権力者に一層の政治権力を与えるだけで貧困層などの社会的弱者による自発的な生活向上には寄与しておらず、援助側の押しつけとしての「専制」に終わっているのではないかとの批判が生まれた。 本書は、こうした開発援助に関する最先端の議論を集めたものである。参加によって民主化が進み、それまで排除されてきた人たちが政治的権利を得るという立場の論考から、自発的改善を行っていた地域が援助側の意のままに動くようになってしまったという事例まで、幅広い意見が紹介されている。 肝心の「参加型開発」についても、「専制をもたらすか否か」という二者択一で決着をつけるのではなく、参加について見直していく必要性を認識しながら、社会の制度的・構造的な変容に繋(つな)がる参加を模索していく。そして、「お仕着せの参加」によらずに一般市民が自分たちの権利としてのシティズンシップを獲得するために、権力者と対等に討議できる場をもつことが肝要と捉(とら)えている。 わが国が世界有数の政府の途上国援助(ODA)供与国であるなら、単なる経済発展や日本企業へのリターンだけを考えるのではなく、途上国における市民の自発的改革をもたらすような開発をいかに行うべきかを考える時期に来ているのではないだろうか。 ◇ 真崎克彦監訳、谷口英里共訳/Samuel Hickey,Giles Mohan
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