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書評

イギリス炭鉱写真絵はがき [著]乾由紀子

[掲載]2008年03月30日
[評者]常田景子(翻訳家)

■旧友に送った職場での近況

 絵はがきが好きで、あちこちで買っているうちに相当な枚数がたまっている。知人が旅先などからくれた絵はがきも、大事に取ってある。もっとも、それらはみな、風光明媚(ふうこうめいび)な名所や名画のたぐいだ。さて、「イギリス炭鉱写真絵はがき」とは、どんなものだろう?

 本書の著者は、日本の炭鉱を研究していた時に炭鉱写真と出会い、その後イギリスの炭鉱を題材にした写真絵はがきの存在を知ったという。イギリスでは古い絵はがきの収集家が多く、炭鉱絵はがきのコレクターも多いそうだ。こうした炭鉱絵はがきは、炭鉱から炭鉱へと渡り歩いた炭鉱労働者たちが、旧友や親類に新しい職場の様子を知らせるために送ったものも多い。現在のように誰もがカメラを持ち、簡単に写真が撮れる時代ではなかったということもあるが、ちょっとした文章を書いてそのまま送れる絵はがきという媒体の性格ゆえだろう。

 絵はがき以外にも、写真が普及していく過程に登場した他の写真メディアも言及されており、原物そのままの映像のミニチュアを私有するという、今では当たり前のことの精神的意味を改めて思った。実物の口絵も掲載されていて、見ているだけでも楽しい。

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