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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]尾関章> 記事 書評 ピタゴラスの定理―4000年の歴史 [著]エリ・マオール[掲載]2008年04月06日 ■2はピタゴラスよりえらい? 「2」の魔力に圧倒される。そんな一冊だ。 ただの2ではない。KYON(キョン)の右肩に乗れば小泉今日子に化ける「2乗」の2である。 直角三角形の斜辺の2乗はほかの2辺の2乗を足し合わせたものに等しい。このピタゴラスの定理が、古代から現代へ脈々と流れる数理の通奏低音であることがわかる。 自然数の世界をみると、このピタゴラスふうの関係は3乗や4乗などで成り立たない。2乗は格が違うのだ。そのことを示したのが、あのフェルマーの最終定理だった。 ピタゴラスの定理は、近現代の科学を支える土台となった。なんと言っても、二つの点の距離を求めるときのツールになる。アインシュタインの特殊相対論が描く時空でも、2乗したものを足し合わせる式がものを言う。 あえて弱みを探せば、球面の上などでは通用しないことだ。だから、これを宇宙に発信して地球外生物の返事を待つのは、必ずしも得策とはいえない。 小さな天体に住む生き物は、足もとの大地がまるく曲がっていて「その幾何にはピタゴラスの定理は出てこないかもしれない」。 だが、球面の幾何ですら、2乗は顔をのぞかせる。ピタゴラスがえらいのか、それとも「2」がえらいのか。 ◇ 伊理由美訳
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