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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]天児慧> 記事 書評 中国―危うい超大国 [著]スーザン・L・シャーク[掲載]2008年04月13日 ■権力の正統性に不安を抱く指導者 台頭する中国をいかに理解するか、世界にどのようなインパクトを及ぼすかという問題は、ここ十数年来誰もが大きな関心を寄せ続けてきた。著者は1980年代に専門家として頭角を現し、90年代後半にクリントン政権の国務次官補代理として対中政策に直接かかわってきた中国研究の重鎮である。評者も幾度か直接意見交換をしたことがあるが、豊富な情報と明晰(めいせき)な分析力による彼女の指摘には説得力があった。 本書もこうした彼女の本領がいかんなく発揮され、「中国を知る」ための大量の情報がうまく埋め込まれ、同時に「中国を理解する」ための著者の切り込みが新鮮であった。特に興味深かったのは以下の3点である。 (1)中国の「危うさ」である腐敗、格差、環境破壊、大衆騒乱などは今日広く知られ、本書でも具体的に紹介されているが、問題はむしろ指導者たちが自らの権力の正統性、党体制の存続に異常なほどの不安と恐怖を抱いていること、そのために軍依存を強め、また世論による非理性的なナショナリズムを阻止できない点にある。(2)近年多国間外交、周辺外交、新安全保障観を強調し、「責任ある大国」を大いに意識するようになった。が、特に日中、中台、米中の関係は国民感情が絡み中国外交の最難題となっている。3者と中国の関係は「対米関係は面子(メンツ)と国益の問題、対日関係は愛国心の問題、台湾(独立)は共産党体制にとって死活の問題」と特徴付け、それぞれ1章ずつを設けて深い分析を行っている。最後に(3)民主化を経ないでも難局から脱する方策として、攻撃的なナショナリズムから友好的なそれへの転換、改革の受益者である地方幹部と民間経済人の外交政策決定への参与、軍への文民統制の強化、党のマスコミ統制の緩和などを指摘しており説得力がある。 ただし日中関係は「強い日本と強い中国」のにらみ合った現状からやがて、中国の強大さが明確になれば日中は良好になるとの中国人の言葉を紹介するにとどめている。日中理解の難しさの故か。 ◇ 徳川家広訳/Susan L. Shirk カリフォルニア大サンディエゴ校大学院教授。 ここから広告です 広告終わり 書評 バックナンバー
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