ここから本文エリア

RSS

現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]その他> 記事

書評

ジャズの巨人たち [著]スタッズ・ターケル

[掲載]2008年04月20日
[評者]常田景子(翻訳家)

■心洗われる音楽家たちの肖像

 数々のノンフィクションで知られ、『よい戦争』でピュリツァー賞を受賞したジャーナリスト、スタッズ・ターケルによるジャズミュージシャンの評伝である。本書は1975年に出た改訂増補版の復刊を翻訳したものなので、古いといえば古いが、逆に、75年時点での情報が新鮮なまま残っているとも言える。

 デューク・エリントン、ジョン・コルトレーンなど誰もが知る巨匠から、ビックス・バイダーベックなど、さほど知られていないかもしれないミュージシャンまで13人を取り上げているが、かかわりのあったミュージシャンやプロデューサー、評論家なども多数登場して、ジャズ界の相関図を垣間見ることができる。また、ジョー・オリヴァーがルイ・アームストロングを実の息子のように支援したとか、ビリー・ホリデイがベッシー・スミスに強くあこがれていたことなどを強調し、ジャズの大きな流れを描いている。

 訳者あとがきによると、事実関係に関しては多少おおらかなところもあるようだが、ターケルの筆致そのものにジャズ演奏のような趣があり、語り口の妙味を楽しめる。音楽にのめりこみ、音楽に生きた人々の人生は、時に悲劇的だが、その肖像に心洗われる思いがする。こんな本が一家に一冊あってもいいと思う。

    ◇

 諸岡敏行訳

ここから広告です

広告終わり

このページのトップに戻る