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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]その他> 記事 書評 モダニズムとデザイン戦略 [著]菅靖子[掲載]2008年04月27日 ■英国が大戦間に行った広報戦略 華やかなCMと官庁の地味な広報というものはなかなかイメージ的に結びつかない。国家が発信する情報は民間のように利潤を追求するためのものではないという固定観念があるからだろう。しかしナチス政権下のドイツでは民族国家というイメージ形成のためにあらゆる分野の芸術が動員されたことを考えれば、両者の結びつきは意外と深いことが分かる。これをファシズム権力が民間への介入を図った特異な例ととってはならない。ドイツと敵対した英国でも、広報活動において官庁が民間の芸術家をしきりに取り込んでいく現象が両大戦間に観察できるからだ。 この時期、英国逓信省が採った広報戦略を歴史的に追跡し、ブランドイメージ形成のために用いられた視覚表現がモダニズム芸術と緊密な関係にあったことを立証するのが本書の眼目といえる。ロゴやキャッチコピーなど現代企業が展開するCI戦略の手法は、実にこの時代にはあらかた出揃(そろ)っていたのだ。 ただしプロパガンダや利潤追求以前に、中産階級には不可欠のお上品さ(リスペクタビリティー)が強くそこに要求されたところが、いかにも英国らしいといえる。審美的な判断にも道徳律が問題とされるこの国ならではの文化的特徴を理解するためには、本書は恰好(かっこう)のテキストとなるはずだ。
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