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中国動漫新人類 [著]遠藤誉

[掲載]2008年4月27日

  • [評者]天児慧(早稲田大学教授・現代アジア論)

■「反日」と「好感」、奇妙な併存を洞察

 日中関係を論ずる場合、首脳交流、経済交流、貿易、歴史教科書、「靖国」、愛国主義キャンペーンなどが主な話題となる。確かにこれらは重要なテーマである。しかし近年こうした問題の水面下で、極めて重要な日中関係の構造・流れが形成されていることを知らなければならない。今年初めにおこった「冷凍餃子(ギョーザ)毒物混入事件」は、日本の食生活に占める中国の存在の大きさを明らかにした。

 本書で取り扱っている日本のアニメと漫画(動漫)は、じつは中国の多くの若者の心をとりこにし、対日イメージにかなり重大な影響を与えるようになった。戦争の歴史や愛国主義教育によって形成された「反日感情」と、アニメや漫画を通して芽生えた「日本への好感」が、一人の若者の内面で奇妙に併存していると筆者は洞察する。05年春に大規模な反日運動が展開されたが、それでもその年に日本に来る中国人留学生の数は増えている。当時なぜという疑問を強く抱いた。本書はその疑問を解くカギを提供してくれたと同時に、政治体制の強い制約の中でも、静かに思想・自我の解放が進んでいる中国の実態を垣間見せてくれた。

 著者は中国で幼少期を送り、現在も中国と深くかかわりを持つ。日中関係の本質に迫るバランスの取れた渾身(こんしん)の力作である。

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