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カラシニコフ自伝 [著]エレナ・ジョリー

[掲載]2008年5月11日

  • [評者]松本仁一(ジャーナリスト)

■自動小銃の生みの親が語る生涯

 世界中に1億丁以上出回っているといわれるカラシニコフ自動小銃。その設計者からの聞き書き自伝である。本人は88歳で今も健在だ。

 貧農の生まれで学歴はないが、機械いじりが大好きだった。1941年、戦車兵として対独戦で負傷する。その体験が自動小銃づくりの契機となった。

 著名な技術者たちとの設計競争。故障を防ぐため構造をスカスカにし、部品を「まるで一つひとつが宙に浮いているかのように」設計する。そんなプロジェクトX物語も面白いが、さらに興味深いことがある。

 私は新聞連載のため02〜04年に3回本人に会い、生い立ちを取材した。ところが彼は、私に隠していたことがあった。11歳のとき、スターリンの富農追放でシベリア送りにされる。その生活に耐えられず、17歳の時に脱走する。それを黙っていたのだ。

 この本で初めてその事実を語る。子供や孫たちにさえ怖くて話せなかった、開放の時代になったから明かすのだ、として。

 にもかかわらず彼はゴルバチョフを嫌う。スターリンを評価し、社会主義時代を懐かしむ。たたき上げの職人がソ連の始まりから終わりまでをどう生活し、何を考えていたか。そんな読み方もできる本だ。

    ◇

 山本知子訳

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