[掲載]2008年5月11日
■19世紀に遡って意義と限界を探る
国民という意識を持つ人々からなる国民国家は、19世紀に生まれたものである。グローバリゼーションはそれを乗り越えようとしているように見える。だが今逆に国民国家が強化されている面もあり、その力は依然として強い。またこの間に、歴史学の分野で国民の研究も進んできた。そういう時、改めて19世紀に遡(さかのぼ)って国民国家の意義や限界を探りなおそうというのが、本書の狙いだ。
本書は、日本のほかに朝鮮、中国、ベトナム、トルコなどでの国民国家の構想を比較検討する論考からなっている。日本という国民国家の意義と限界を考えるにはアジアという範囲で考える必要があるという狙いが見える。
19世紀のアジア諸国において、大国主義的な国民国家の方向と、分権的・連邦的な小国主義的国民国家の方向とがあった。日本では前者がとられ、朝鮮や中国やベトナムなどでは、後者がかなりの力を持っていたにもかかわらず、結局はそれが失敗し植民地化されたというのが大筋である。
国民や国民国家の概念が著者の間で不ぞろいである点が気になる。「付論」で論じられているような国民国家についての基礎的な検討が事前にあるべきだったのではと思われる。ともかく、われわれが国民国家を根本から考え直すには必須の書であろう。
出版社:青木書店 価格:¥ 2,940
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