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光源氏が愛した王朝ブランド品 [著]河添房江

[掲載]2008年5月18日

  • [評者]久田恵(ノンフィクション作家)

■平安朝のセレブもブランドが好き

 エルメスのバッグやシャネルのスーツ、バカラのグラス……。舶来もののブランド品は、今もセレブたちのステータスシンボルだけれど、1千年も昔、源氏物語の時代からずっとそうであったとは。

 平安朝のセレブ、あの貴公子光源氏もブランド好きで、女性の気を惹(ひ)くために、なにかと高価な舶来物をプレゼントしていたなどと知ると、遠い王朝物語がにわかに身近に感じられてくる。

 本書によれば、当時の舶来ブランド品は、唐物と呼ばれていたそうで、その種類はなんとも多彩だ。

 陶磁器、瑠璃壺(るりつぼ)(ガラス器)、香料、織物、調度品、さらにロシアン・セーブルなどの高級毛皮や孔雀(くじゃく)や猫、鸚鵡(おうむ)のペットまで。

 源氏物語の世界には、この舶来ものの描写が多くちりばめられていて、それが作品をいっそう華やかなものにしているとのこと。

 思えば、源氏物語は、当時の読者にとっては、まさしく現代小説。秘色の青磁器とあれば、それがどんな色で、どんな高価なものかとか、登場人物のファッションが流行遅れか先端かなどなど、たちまち分かって、さぞかし興奮をそそられたに違いない。

 私も源氏物語を同時代の読者として読んでみたかったものだ、と思う。

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